おすすめのHACCPシステムを紹介します!
飲食店や食品メーカー、保育園、ホテルなど食品を扱う業界では、HACCPに基づく衛生管理が義務化されています。しかし、新たに導入する場合や紙ベースで管理していた事業者にとって、手間や負担が大きな課題となることもあります。
そこで導入したいのがHACCPシステムですが、提供されているシステムの数が多く、それぞれ異なる特徴を持っていることから
- ・HACCPシステムはどんなことができるの?
- ・導入前に気を付けるべきことは?
- ・何を優先して選ぶべき?
といった疑問が生まれるでしょう。当サイトでは、HACCPシステムを検討する事業者向けに、機能やコストの比較、導入のポイント、さらに実際の口コミや評判を紹介しています。
おすすめのHACCPシステム比較表
会社名 | 項目 | 特徴 | 料金・プラン例 | 温度管理 | 帳簿管理 | IoTデバイス連携 | コンサルティング | 認証対応規格 |
FOOD CAPTAIN (株式会社ハピクロ) ![]() | 食品衛生専門家監修のクラウドサービス | ■初期費用:0円 ■月額料金:ライトプラン 1拠点・店舗あたり1,100円 スタンダードプラン 1拠点・店舗目8,800円 | HACCP/ISO22000/FSSC22000/JFS-A/B/Cなど | |||||
KAMINASHIレポート (株式会社カミナシ) ![]() | 幅広い業界で活用可能な現場DXプラットフォーム | ■初期費用:記載なし ■月額料金:記載なし(料金プラン・ID数により変動) | HACCP/ISO22000/FSSC22000など | |||||
ACALA (タイムマシーン株式会社) ![]() | 温度管理を自動化するloTシステム | ■初期費用:0円 ■月額料金:記載なし(クライアントごとにプランを提案) | HACCPなど |
CONTENTS
HACCPシステムについて①
HACCPシステムの主要機能
現在多くのHACCPシステムが開発されていますが、基本的な機能に関しては共通しているものが多いです。ここでは、HACCPシステムの主要機能について詳しくご紹介するので、システムについての理解を深めていきましょう。
衛生管理計画書などの書類作成
HACCPの導入には、厚生労働省が提示している手引書などを参照し、衛生管理計画書を作成しなければなりません。初めてHACCPを導入する場合、これらの書類作成に多くの手間や負担を感じてしまうことがあるでしょう。その点HACCPシステムには、衛生管理計画書はもちろん、さまざまな書類のテンプレートなどが搭載されているため、簡単に書類を作成することができるのです。
衛生管理のチェック・記録
衛生管理のチェックや記録が簡単にできるのも、HACCPシステムの特徴です。衛生管理として行うべき項目が作成されており、パソコンはもちろんスマートフォンやタブレットでも使用できる場合は、どこからでも記録やその確認を行うことができます。また必要な場合は、PDF形式やエクセル形式などで出力できるシステムもあるので、用途に合わせた使い方ができるのも魅力です。
データの一元管理・集計
HACCPシステムは、複数店舗を持つ企業が使用するケースが多いですが、各店舗で入力されたさまざまな記録を一元管理したり集計したりできるのも特徴です。自動集計を活用し、報告書の作成や出力ができるほか、それを使用して各店舗の分析などを行うこともできるでしょう。本部は店舗ごとのデータをひとつひとつ管理や取りまとめをする必要がなくなるため、手間や負担を大幅に軽減できるはずです。
その他本部向け機能
その他に本部向けの機能として、メニューごとのグループ分けをして食品を管理できる機能や、マニュアルの作成機能、本部が複数店舗の現場の状況をリアルタイムで確認できるダッシュボード機能なども搭載されているシステムが多いです。また、すでに自社でHACCPプランを構築している場合は、それに合った使い方にカスタマイズできるシステムもあるので、現在のプランを変えることなく便利に管理ができるようになるでしょう。
その他店舗向け機能
店舗向けの機能としては、従業員の健康状態をチェックする機能や、記録の入力漏れやミスがあった場合、設定温度や湿度を逸脱した際にアラートする機能などを備えているHACCPシステムも多いです。冷蔵庫や冷凍庫の温度計から、直接温度や湿度をクラウドに記録してくれるシステムもあり、管理の手間を減らしてくれたり、異常にいち早く気づいたりできるようになるため便利です。
HACCPシステムは食品衛生管理に必要なさまざまな機能が搭載されている
複数店舗ある場合もデータを一元管理できて便利
各業種HACCP導入のポイント
HACCPを導入するべき業種はさまざまですが、ここでは各業種によるHACCP導入のポイントをご紹介していきます。これから導入を検討している方は、自分たちの業種で気をつけるべきことなどをしっかりと把握しておきましょう。
飲食(チェーン店)
多数の店舗を持つ飲食チェーン店では、HACCPを実施する責任者を明確にしておくことが求められます。チェーン店の場合、本部で全店舗に適用する衛生管理計画書を作成し、各店舗で実施して記録をつけていきますが、本部に報告を行うのは店舗の食品安全責任者です。
本部はHACCPを実施する体制を構築し、必要な人材や設備、資金などを適切に用意する必要があるでしょう。またチェーン店ではメニューの管理を本部で行っていることが多く、その数も多岐にわたるため、メニューの品目ごとに原材料や製造工程を把握して、その管理方法を衛生管理計画に取り入れる必要があります。
そして多数の店舗を管理するためには、一元管理の方法が楽なHACCPシステムを導入することも大切です。各店舗の手間を減らすためにも、スタッフの使いやすさも重視しながらHACCPの導入やHACCPシステムの選定をしていきましょう。
飲食(個人店)
個人で経営している飲食店の場合は、HACCPの弾力的運用といって、シンプルにしたHACCPを導入することになります。衛生管理計画においては、これまでの一般衛生管理を文書にして記録・管理を行っていきます。
内容としては原材料に問題がないか、万が一問題が発生した場合にどのような対処を行うのかなど「原材料の受入れ」について、冷蔵庫や冷凍庫の温度管理や記録、交差汚染・二次汚染の防止、従業員の健康管理・衛生的作業着の着用などを取りまとめておく必要があります。
小規模店舗向けのHACCPは簡略化されているため、複雑な書類作成や専門知識を必要とする場面が以前よりも減っており、現場のスタッフでも自然にHACCPを取り入れやすくなっているのが特徴です。またHACCPについてのトレーニングプログラムも強化されているので、それらも上手に活用しながら店舗の衛生管理を行っていくことが求められます。
ホテル
ホテルのレストランでHACCPを導入する場合、重要管理で管理しないのであればこれまでのように一般衛生管理で管理を行っていくことになります。具体的には納品時の原材料の確認や納入先の衛生管理状況、原材料に問題が発生した場合の対処方法、冷蔵庫や冷凍庫の温度管理や記録、食材への汚染防止、設備や機器食器類の清浄・消毒・殺菌、トイレの清浄・消毒、従業員の健康管理・衛生的な手洗いの実施などがあります。
また大きなホテルの場合、衛生管理に問題がある場合集団食中毒が発生するリスクもあります。食中毒の発生はホテルのレストランだけでなく、宿泊の部門にまで悪影響を及ぼす可能性があるため、十分に衛生管理を行う必要があります。
また大きなレストランほど従業員の数も増えていくので、従業員に対するHACCP教育も欠かせません。手洗いや健康管理などはマニュアル化し、実施内容の記録や定期的な見直しなどを行っていくことが大切です。
給食施設(学校・福祉施設など)
学校や病院、福祉施設などの営業目的でなく継続的に多数または不特定の方に食品を提供する場合は「集団給食施設」として扱われます。完全義務化となっているHACCP導入の対象に、この集団給食施設も含まれており、HACCPを導入した食品衛生管理が不可欠です。
HACCPを導入するための第一歩として、一般衛生管理を正しく行うことが大切です。そしてHACCPを導入した衛生管理においては、食中毒などリスクが高い部分について対策を講じていくことが求められます。
そのために必要なのが、食中毒の危害要因分析・CCP決定や、管理基準の設定、さらに食品ごとの管理方法の検討や決定です。ほかにも加熱・冷却・保存工程のチェックや、使用する水や設備の管理も徹底しなければなりません。そしてそこに関わる全ての従業員のHACCPへの意識や知識を統一し、適切な衛生管理ができる環境にすることも大切です。
工場
食品を扱う工場もHACCP導入が完全義務化となっていますが、小規模な食品工場の場合は厚生労働省B基準の簡易的な「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」で問題ありません。ただし大規模な食品工場の場合は、A基準よりも厳格な「HACCPに基づく衛生管理」を行う必要があります。
一般衛生管理においては、交差汚染・二次汚染の防止、器具等の洗浄・消毒・殺菌、異物混入対策、外部からの汚染対策などが重要なポイントです。さらに重要管理としては、食品に合った管理方法の策定、加熱・冷却・保管工程の徹底チェックが重要となります。
また、健康食品製造工場の場合は、一般の食品工場と異なる基準が設けられているため、扱っている食品によっても衛生管理の項目や方法が異なることを理解しておきましょう。
物流業界
物流業界においても、HACCPの導入が求められるケースがあります。HACCPの対象となるのは、温度管理が必要な食品や食材の運搬・保管を行う企業です。運搬や保管時に温度管理が適切に行われていないと、食品事故が発生してしまうリスクが高まるからです。
ただし物流業界の場合は重要管理点が基本的になく、一般衛生管理が中心となります。一般衛生管理では、異物の混入を防ぐ環境の構築、保管や配送時の温度・湿度管理、取扱者の衛生管理、レポートラインの整備、従業員の健康管理、倉庫や運搬車両の清掃などの項目があります。
レポートラインとは、指揮命令系統や報告手順・対策のことで、HACCPの衛生管理では手順書を作成して記録をつけることが求められます。過去には物流企業の取扱者が原因で発生してしまった食品事故もあるため、従業員への意識付けや教育、衛生環境の構築は欠かせない項目といえます。
各業界のHACCP導入のポイントをチェックしよう!
業界によって求められる範囲が異なる
HACCPシステムを選ぶうえで重視するポイントはなんですか?Webアンケートで調査!
ここまでHACCPシステムの機能や、各業種ごとに知っておきたいHACCP導入のポイントについて解説してきました。では実際にHACCPシステムを導入する場合、どのような点に着目して比較検討していけばいいのでしょうか?
そこで当サイトでは、現在食品衛生管理が必要な施設・店舗の責任者や担当者を対象に「HACCPシステムを選ぶうえで重視するポイント」について、アンケートを実施してみました。その結果が、以下の画像になります。
第1位は「料金の手軽さ」でした。割合にして約34%と、3人に1人の方が料金やプランを比較検討の重要なポイントと考えているようです。HACCPシステムはさまざまな会社が開発・提供していますが、手軽に試すことができる”初期費用が無料のシステム”もありますので、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。
第2位は「機能の充実度」でした。HACCPシステムと呼ばれる製品の機能は、大きく温度管理と衛生管理、2種類に分けられます。どちらにも対応しているシステムを選ぶことができると、より効果的なHACCP導入が叶えられるでしょう。
第3位は「業種・業態に対するカバー範囲」でした。飲食店や工場だけでなく、ホテルや学校、物流業者など食品に関わる業界は多種多様です。そのため、なるべく幅広い業種・業態に対応しているHACCPシステムは、多くの現場にマッチしやすいといえるでしょう。
第4位は「導入支援・コンサルティング」でした。紙媒体からの移行など、おそらく初めてHACCPシステムに触れることになる方も多いと思います。そのような場合は、オンラインでの相談対応やコンサルティングに対応している会社を選ぶのがおすすめです。
第5位は「IoTの活用・システム」でした。IoTセンサーを活用した温度管理システムでは、計測結果を自動記録することが可能です。業務効率化に加え、ミスの削減にもつながるので、そのような視点でシステムを選ぶのも良さそうですね。
第6位は「多拠点・多店舗管理」でした。特にチェーン店など拠点を複数持つ企業の責任者は、管理体制をどのように整えればいいかお悩みの方も多いと思います。そのような懸念は、管理者がリモートで記録を一元管理できるHACCPシステムを導入することで解決できるでしょう。
アンケートの結果はいかがでしたでしょうか?同じようにHACCPシステム導入を検討している方々の考えを、少しでも知ることができていましたら幸いです。この後は「HACCPシステムの選び方」について解説し、そのうえでおすすめのHACCPシステムをご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
HACCPシステムの選び方
HACCP導入が義務化、また導入が望ましいとされていることから、HACCPシステムのニーズは高まっています。それに応えるように多くの企業がHACCPシステムを開発・販売していますが、数が多いためどのシステムを選ぶべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そんな方のために、ここではHACCPシステム選びでチェックしたいポイントをご紹介します。
豊富な機能
HACCPシステムの多くは基本的な機能を揃えていますが、その数や範囲はシステムごとに異なります。とくにHACCPで求められる温度管理を行うシステムと、衛生管理を行うシステムは別々に提供されていることもあるので、必要な機能が揃っているかどうかは必ず確認しましょう。できるだけ豊富な機能が搭載されているもの、どちらにも対応しているシステムを選ぶと、後でオプションでの追加などの手間がなく便利に利用できるはずです。
コスト・料金
HACCPシステムを導入する場合には、必ず費用がかかりますが、高額だから必ずしも自社に合っているというわけではありません。料金の中に含まれる内容が自社の体制にあっているのか、必要な機能がコスト内に収まっているのかなどを確認し、内容とともに料金をチェックすることが大切です。なかには基本機能のみを低価格で提供しているものの、必要な機能をオプションで追加していくと高額になってしまうというケースもあるので注意が必要です。
幅広い業種・業態に対応
さまざまな業種で導入が勧められているHACCPシステムですが、幅広い業種や業態に対応しているシステムを導入することで、異なる業態の事業を始める場合なども安心です。さまざまな業種や業態に対応しているということは、それだけ柔軟なシステムでもあると考えられるので、初めてHACCPシステムを導入する企業でもスムーズに導入を進められる可能性があります。
IoTデバイスとの連携
HACCPシステムのなかには、IoTデバイスとの連携ができるタイプもあります。たとえば冷蔵庫や冷凍庫内に取り付けた機器が自動で温度や湿度を計測し、クラウドに送信して記録してくれるなどの機能があるシステムであれば、さまざまな手間を減らすことができ、記録のミスや漏れを防ぐことができます。また異常を検知した場合にアラートしてくれるなど、人の目や手よりも敏感に管理できるというのもIoTデバイスと連携しているシステムのメリットです。
コンサルティングサービス
HACCPシステムを提供している企業のなかには、導入前の相談から導入、定着のための提案といったコンサルティングサービスを行っている企業もあります。とくに初めてHACCPシステムを導入する場合、方法がわからなかったりやるべき範囲を判断できなかったり、さらに導入しても定着させることができなかったりなどのさまざまな課題が発生しやすいです。そのためコンサルティングを行ってくれる企業に依頼すれば、よりスムーズかつ安心してシステムの導入を進められるでしょう。
多拠点・多店舗管理
HACCPシステムの多くは、多拠点や他店舗管理ができますが、その使い勝手や機能はシステムごとに異なります。本部で使える機能や各店舗で使える機能、使いやすさなどを事前に確認し、他店舗や多拠点で一元管理する場合に本部も店舗も少ない負担で運用できるようなシステムを選びましょう。
HACCPシステムは豊富な機能かつ幅広い業種に対応しているものがおすすめ
IoTデバイスとの連携など、より手間なく使用できるシステムを導入しよう
おすすめのHACCPシステム3選
FOOD CAPTAIN(株式会社ハピクロ)
おすすめポイント
-
衛生管理項目のチェック・記録が誰でも簡単に操作可能
-
多拠点・多店舗の一元管理が可能
-
気軽にスタートできるライトプランを用意
温度管理・衛生管理どちらにも完全対応!食品衛生管理の効率化をトータルサポート
FOOD CAPTAIN(株式会社ハピクロ)の基本情報
料金・プラン例 | ■初期費用:0円 ■月額料金:ライトプラン 1拠点・店舗あたり1,100円 スタンダードプラン 1拠点・店舗目8,800円 |
---|---|
主な機能 | 健康・衛生チェック記録/新型コロナ対策実施記録/確認・承認・集計/冷蔵庫・冷凍庫温度自動記録/温度異常アラート/クラウドカメラ自動記録 など |
温度管理 | 〇 |
帳簿管理 | 〇 |
IoTデバイス連携 | 〇 |
コンサルティング | 〇 |
認証対応規格 | HACCP/ISO22000/FSSC22000/JFS-A/B/Cなど |
会社情報 | 株式会社ハピクロ 福岡県北九州市八幡西区沖田4-11-32 |
KAMINASHIレポート(株式会社カミナシ)
おすすめポイント
-
現場に合わせた手厚い運用定着サポート
-
設備保全業務をトータルで管理可能
-
動画マニュアルを活かした従業員教育
サポート体制が魅力の現場DXプラットフォーム!各現場ごとに最適なサービスを提供
KAMINASHIレポート(株式会社カミナシ)の基本情報
料金・プラン例 | ■初期費用:記載なし ■月額料金:記載なし(料金プラン・ID数により変動) |
---|---|
主な機能 | レポート機能/タスクスケジュール/音声・手書きメモ/辞書登録/承認一覧表示/Excel出力/拠点の階層化/カイゼン機能/業界別テンプレート/ダッシュボード機能 など |
温度管理 | △ |
帳簿管理 | 〇 |
IoTデバイス連携 | 〇 |
コンサルティング | △ |
認証対応規格 | HACCP/ISO22000/FSSC22000など |
会社情報 | 株式会社カミナシ 東京都千代田区神田鍛冶町3-7 神田カドウチビル3階 |
ACALA(タイムマシーン株式会社)
おすすめポイント
-
簡単に機器設置が可能で導入・運用のハードルが低い
-
24時間どこからでも遠隔監視が可能
-
広域エリアでも対応可能なメッシュ型無線ネットワーク
簡単設置が可能な温度管理システム!温度データのチェック・管理を効率化
ACALA(タイムマシーン株式会社)の基本情報
料金・プラン例 | ■初期費用:0円 ■月額料金:記載なし(クライアントごとにプランを提案) |
---|---|
主な機能 | 庫内温度・湿度の計測データ確認/24時間遠隔監視/異常発生時のアラート/帳票の自動作成/低消費電力モード など |
温度管理 | 〇 |
帳簿管理 | △ |
IoTデバイス連携 | 〇 |
コンサルティング | △ |
認証対応規格 | HACCPなど |
会社情報 | タイムマシーン株式会社 東京都中央区日本橋人形町1-5-5 芳町ビル2階 |
HACCPシステムについて②
HACCP(ハサップ)の基礎知識
HACCPを導入する前に、まずはHACCPについて詳しく知っておく必要があります。ここでは、HACCPの基礎知識をご紹介するので、ぜひチェックしてみて下さい。
HACCPとは?
そもそもHACCPとは、Hazard Analytics Critical Control Pointという言葉の頭文字を取ったもので、食品安全を確保するための衛生管理手法のことを指しています。具体的には「Hazard(危害)」「Analytics(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理・制御)」「Point(点)」という言葉から、HA(Hazard Analytics)とCCP(Critical Control Point)の2つに構成された考え方です。
HA(Hazard Analytics)の意味は「危害要因分析」であり、食品における危害とは、食中毒を引き起こす微生物や食品などの生物的要因、食品添加物や残留農薬と言った科学的な要因、そして金属片、毛髪などの物理的要因があります。Hazard Analyticsではこれらの要因が消費者に与える影響度、発生頻度といった角度から分析し、要因を排除したり低減したりする管理方法を明確にします。
CCP(Critical Control Point)は、日本語で「重要管理点」と訳されます。特定の危害要因を排除するために重要な工程で、その危害要因を低減したり除去したりする最後の工程でもあります。たとえば菌による影響を抑えるための加熱殺菌工程などがこれに当たります。
ただし、HACCPは原料の入荷から出荷までの製造工程でのリスクを管理するものであり、あくまでもソフト面での衛生対策であることを忘れてはなりません。食の安全を守るためには、作業する場所や環境を清潔に保つなど、ハード面での取り組みも徹底的に行う必要があるでしょう。
HACCP義務化について
HACCPは、2021年6月から義務付けられた制度であり、大手企業だけでなく中小企業や個人店にいたるまで、広く取り組むことを目的に実施された法改正でもあります。それ以前にもHACCP普及のためのさまざまな取り組みは行われていましたが、なかでも中小企業や小規模な事業者への普及が滞っていた背景もあり、すべての食品事業者が対象となったという経緯があります。
義務化後はすべての食品等事業者が衛生管理計画を作成することが義務付けられていますが、事業者ごとにその内容は異なります。食品の取り扱いに従事する者の数が50人以上の事業場である大規模事業者や畜場、食鳥処理場においては「HACCPに基づく衛生管理」が求められます。
これは、コーデックスのHACCP7原則に基づき、使用する原材料や製造方法などに応じて計画を作成し管理を行う手法です。これ以外の小規模な営業者等には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」がもとめられています。
こちらは、各業界団体が作成する手引書を参考にしながら、簡略化された衛生管理を行うという手法です。小規模な営業者等には下記のような事業者が含まれます。
・食品を製造し、又は加工する営業者であって、食品を製造し、又は加工する施設に併設され、又は隣接した店舗においてその施設で製造し、又は加工した食品の全部又は大部分を小売販売するもの
(例:菓子の製造販売 、 豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売 等)
・飲食店営業又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者
(そうざい製造業、パン製造業(消費期限が概ね 5日程度のもの)、学校・病院等の営業以外の集団給食施設、調理機能を有する自動販売機を含む)
・容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品のみを貯蔵し、運搬し、又は販売する営業者
・食品を分割して容器包装に入れ、又は容器包装で包み小売販売する営業者
(例:八百屋、米屋、コーヒーの量り売り 等)
・食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場
(事務職員等の食品の取扱いに直接従事しない者はカウントしない)
HACCPの認証制度
HACCPを導入することは制度化されていますが、実は認証を取得する義務はありません。ただし、消費者への信頼や安全性をアピールするために、第三者機関による審査や認証の制度は多数設けられています。
たとえば地方自治体によるHACC認証や、業界団体による認証、また民間機関による認証もあります。民間機関による認証として、JFS-A/B/C(食品安全マネジメント協会)FSSC22000(FSSC:食品安全認証財団)ISO22000(ISO:国際標準化機構)SQF1000/2000(SQFインスティテュート)などが挙げられます。
当然これらの認証を取得している企業や団体は、安全性や信頼性を証明できるため、消費者から選ばれやすい企業になることは間違いありませんが、HACCPはあくまでも食品衛生管理を徹底するための制度です。認証を取得することが目的になり、取得後に管理がずさんになっては意味がないため、衛生管理への対策や意識を持つことは継続しなければなりません。
7原則12手順
消費者の健康保護や食品の公正な貿易の確保のために設置された国際的な政府間機関「コーデックス異委員会」では、HACCP導入までの手順を「7原則12手順」としてまとめています。
手順1:HACCPのチーム編成
手順2:製品説明書の作成
手順3:意図する用途および対象となる消費者の確認
手順4:製造工程一覧図の作成
手順5:製造工程一覧図の現場確認
手順6(原則1):危害要因分析の実施
手順7(原則2):重要管理店の決定
手順8(原則3):管理基準の設定
手順9(原則4):モニタリング方法の設定
手順10(原則5):改善措置の設定
手順11(原則6):検証法の設定
手順12(原則7):記録と保存方法の設定
HACCP管理の標準化
HACCPを適切に機能させ、食品衛生管理を確実なものにするためには、すべての工程に関わる作業員全員が当たり前に運用できるような状態にすることが求められます。そのため、ヒューマンエラーへの対策や意識付けを行う必要があるでしょう。
たとえば従業員へ正しい知識の教育や工程の標準化を行うために、HACCPの研修を行うという方法が挙げられます。また現場での作業工程や負担を減らし、現場の状況を一元で管理するためにHACCPシステムを導入することもおすすめです。昨今ではIoTデバイスとの連携などにより、負担を減らしながら適切な管理ができる技術も進んでいるため、より安全で安心な食を提供するためにも、適切な方法で管理を標準化する必要があるといえます。
HACCPとは食品安全を確保するための制度
安全性や信頼度を高めるためにもHACCP管理の標準化が求められる
HACCP導入のメリット・デメリット
手順が多く複雑な知識が必要なHACCPですが、導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、HACCP導入のメリットのほか、デメリットについてもご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
HACCP導入5つのメリット
HACCP導入の5つのメリットをご紹介します。
従業員の衛生管理意識が高まる
HACCPを導入するためには、食品衛生のリスクや管理に関する手順などを食品に関わるすべての従業員に共有する必要があります。その過程でHACCPの必要性や重要性を認識し、スタッフが食品の安全性について意識するようになるでしょう。
食品の品質や安全レベルの向上
HACCPは、そもそも食品安全の問題を防止する目的で義務付けられているため、導入することで食品の適切な取り扱い方法や保管方法などを実施することができます。これにより、必然的に食品の品質や安全レベルを向上できるというメリットもあります。またHACCPでは温度や食品の管理についての記録も行うため、万が一問題が発生した際にも原因究明や製品回収をスムーズに行えるという点から、消費者へのリスクを低減できます。
クレームや事故の低減
食品の管理や製造過程において考えられるリスクを、体系的に管理するのがHACCPであるため、大規模な事故やクレームを防げるというのも導入するメリットといえるでしょう。たとえば異物混入や誤包装、温度管理のミスによる品質不良なども、HACCP導入で防げる事故といえます。
信頼度アップ
このような適切な管理や製造、万が一の際の迅速な対応を行い続けることが、顧客への信頼度や満足度アップにもつながっていきます。HACCPを導入しているということは、正しく食品を扱っていることをアピールすることもできるので、顧客から選んでもらえるチャンスも増えるでしょう。さらに顧客からの信頼度が高まると、取引先や人材確保の面でも優位に働く可能性もあり、企業の成長にもつながることがあります。
食品ロスの低減
HACCPに基づいた衛生管理や品質管理を徹底することで、温度管理のミスによる製品不良や、異物混入などの事故を防げるため品質管理を満たさない製品を減少でき、食品ロスを減らせるのもHACCP導入のメリットです。食品ロスは生産性の低下につながる大きな要因のひとつでもあるため、企業としての無駄を減らすためにも役立つでしょう。
HACCP導入3つのデメリット
HACCPを導入する場合に考えられるデメリットについて見ていきましょう。
初期費用がかかる
HACCPの導入には、新たな設備やシステムの導入が必要となるケースが多く、多くの初期費用がかかってしまうことがあります。またHACCP認証を受ける場合も定期的な監査や点検が必要であり、それに伴う出費が発生するため、その点にデメリットを感じる方もいるでしょう。
手間が増える
HACCPを導入すると、製造の全工程でチェック項目が増えるため、当然ながら記録や管理の手間も増えてしまいます。従業員は普段の業務にプラスしてチェックや管理を行わなければならないので、製造の効率が下がることもあるでしょう。
教育コストがかかる
HACCPを効率的に実施し定着させるためには、従業員への十分な教育を行う必要があります。基礎知識から新たな設備やシステムの使用方法、具体的な作業手順などを教えるために、研修や講習会などを行う必要性も出てくるためコストが発生してしまいます。
HACCPを導入することで食品の安全性が高まり信頼度アップにもつながる
デメリットも理解したうえでHACCP導入を進めていこう
システム導入による業務効率化
HACCP導入時のデメリットである従業員の負担増や、教育コストの発生については、HACCPシステムを導入することで低減したり解決したりすることができます。ここでは、システム導入によって実現できる業務効率化についてご紹介します。
ペーパーレス化
紙媒体での記録や管理は、保管スペースを用意する必要があったり、工数がかかってしまったりとさまざまなデメリットが存在していました。その点HACCPシステムを導入すれば、ペーパーレス化を実現でき、情報を一元管理することができます。
複数店舗を持つ企業でも、本部ですべての店舗の情報を取りまとめることができるので、各店舗での管理の手間を大幅に低減することができます。もちろん本部でも必要な情報をすぐに検索できるほか、店舗ごとの情報を簡単に確認できるため、確実に管理しやすくなるはずです。
また万が一トラブルが発生した場合でも、過去の記録や作業工程などをすぐに確認できるので、素早い対応が可能になり顧客の信頼度を早期に回復できるなどのメリットもあります。昨今ではクラウド型のHACCPシステムが増えており、導入費用が抑えられたものも多いため、費用面での負担も解消しやすいでしょう。
IoT(Internet of Things)の活用
クラウドタイプのHACCPシステムの場合、IoTとの連携を行うこともできます。たとえば冷蔵庫や冷凍庫の庫内に温度や湿度を感知するセンサーを取り付けることで定期的な測定を行い、その内容をクラウド上に自動保存してくれるというシステムもあります。
導入することによって、従業員の測定や記録にかかる手間を削減することができ、HACCP導入後でも負担が増える心配がありません。このようなシステムは導入に複雑な設定や管理が必要と考える方もいるかもしれませんが、実は多くのシステムはIT担当者が不在でも簡単に導入できるよう設計されています。
導入のコンサルタントから対応してくれるHACCPシステム提供会社もあるので、不安な場合はサポートが手厚いシステムを選ぶと安心です。
HACCPシステム導入は業務効率化につながる
IT担当者不在でも簡単に導入できるシステムが多く負担を感じにくい
HACCPシステムを導入して効率的な衛生管理体制を実現しよう!
HACCPシステムを導入することで、食品の正しい取り扱いや製造ができるようになり、消費者に安心や安全を届けられるようになります。従業員の負担を増やさないためにも、HACCPシステムを導入し効率的な管理体制を整えられるようにしましょう。
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効率的な食品衛生管理をトータルサポート!課題解決に導く
食品の衛生管理の手法「HACCP」の導入。しかし現場では導入に関するさまざまな課題が発生しているケースが多いのも事実です。そんな多くの課題を解決し、効率的に食品の衛生管理を行うためには、自社に適したHACCPシステムを選択することが求められます。
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