
HACCPシステム運用で活用できるIoTについてお伝えします。煩雑な衛生管理業務を自動化させたい、という方も多いのではないでしょうか。HACCPに沿った衛生管理の義務化にともない、IoTを導入したHACCP運用が注目されています。HACCPシステム運用で活用できるIoTについて、くわしく紹介します。
そもそもIoTとは何か
IoTとは、モノをインターネットに接続する技術のことです。IoTによりモノのデータ化や自動化を進められるため、新たな価値を生み出せるとして幅広い分野・業界で導入されています。食品衛生管理においては、記録・管理が自動化されるため、業務の効率化が期待できます。
IoTの定義
IoTとは、家電や自動車などさまざまな身の回りのモノを、インターネットに接続する技術です。インターネットを介して相互に通信することで、データの交換や収集ができます。
あらゆるモノがインターネットにつながり情報をやり取りできるため、モノのデータ化や自動化を推進し、新たな技術を生み出すことができるとして、幅広い分野・業界で活用されています。
IoTの具体例
IoTを活用した家電は、外出先でもスマホで電源の操作や温度調整できるエアコンや遠隔操作できる掃除ロボット、スマホで家の鍵を操作できるスマートロック、ペットの様子を確認できるカメラなどさまざまです。
スマートスピーカーと連携できるIoT家電は、声だけでの操作が可能です。食品衛生管理においては、重要管理点のモニタリングや記録が自動化されるため、業務効率化につながります。
HACCPの運用にIoTは役立つ?
2021年6月から食品関連事業者に対するHACCPの完全義務化がスタートしました。HACCPとは、国際的なガイドラインにもとづく衛生管理のマネジメントシステムです。
HACCPに沿った衛生管理では、衛生管理計画や記録によって、衛生管理の見える化が求められています。HACCP未対応の事業者は、罰則を受ける可能性もあるため注意しましょう。HACCP運用のIoT活用により、期待できる効果を紹介します。
HACCP運用の業務効率化
HACCPに沿った衛生管理では、衛生管理計画書の作成や衛生管理にもとづく運用・記録が求められます。IoTでは、冷蔵・冷凍設備の温度管理や食品加工の際の水温をセンサーで計測するなど、自動的にデータを記録・保管できるため、食品衛生管理業務の負担を軽減できるでしょう。
ペーパーレス化の推進
記録をデジタル化することで、紙の使用を減らすことができます。温度記録や作業記録など、紙に記入していた業務は多岐にわたります。ペーパーレス化の推進は、業務効率化や環境への配慮にもつながる取り組みです。
遠隔で管理・制御できる
IoTの活用により、冷蔵庫・冷凍庫の温度管理をセンサーでモニタリングできるため、遠隔での管理・制御が可能になります。複数の設備状況を遠隔管理できるので、現場の巡回にかかる手間とコストを省くことができます。
機械の故障や電源異常などを検知した場合は、メール、アプリ、電話音声などで異常を知らせるアラート通知機能搭載のシステムでは、トラブルを未然に防いでくれるでしょう。パソコンやスマホからリアルタイムで状況を確認できるため、HACCP運用に役立ちます。
コスト削減
IoT導入により、従来では人が担っていた管理業務が不要になります。記録・管理のデジタル化では、記入ミスや発注ミスなどを防ぐ効果も期待できます。業務の大幅な時間短縮や効率化につながるでしょう。
紙の使用を減らすことで、印刷用紙やインクなどのコストを抑えられたり、人件費を削減できたり、人手不足の解消にも役立ちます。
HACCPの運用にIoTを導入するにはデメリットもある
IoTを導入したHACCP運用では、導入コストが発生したり、デジタルデータの取り扱いや管理に注意が必要だったり、デメリットもあります。IoTを導入するメリットとデメリットを比較して、導入を検討するとよいでしょう。
導入コストが発生する
IoTの導入には、IoT機器の設置や通信環境の整備、メンテナンス費用などの初期費用が発生します。IoT化する工程や費用を明確にし、コストと効果を比較して導入を検討するとよいでしょう。
デジタルデータの取り扱い・管理に注意
HACCP運用では、記録の保管も求められます。落雷や停電でデータが消失するリスクに備え、データをバックアップするなどの対策が必要です。従業員がHACCPの考え方やデータの保管方法・管理方法をしっかり理解することが大切でしょう。
コストメリットがあるとは限らない
IoTを導入しても手書きによる記録・管理を続けるケースも少なくないため、必ずコストメリットがあるとは限りません。IoTを導入し適切に運用できれば、業務の効率化が期待できます。IoTを適切に運用するためには、従業員に対して基礎知識を習得できる研修を実施するなどの教育も必要です。
まとめ
この記事では、HACCPシステム運用で活用できるIoTについてお伝えしました。IoTとは、モノをインターネットに接続する技術です。家電などのさまざまな身の回りのモノをインターネットに接続することで情報をやり取りできるため、モノのデータ化や自動化を推進し新たな価値を生み出せます。HACCP運用においてIoT は、記録・管理の負担を軽減できたり、ペーパーレス化を推進したり、業務効率化に役立つでしょう。HACCPに沿った衛生管理の業務を効率的に進めたい方は、IoTを活用したHACCPシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。